雑誌やネットなどで時計について情報を漁っていると「クロノグラフ」とか「GMT」とか色々な専門用語が出てきますよね。
その中でも必ずと言っていいほど出てくるのが「クロノメーター」ではないでしょうか?皆さんも一度は目にしたり聞いたりしたことがあるかもしれませんね。
さて今回は「クロノメーター」ってよく聞くけど、実際のところ何のことなの?どんな経緯でできたの?というクロノメーターの歴史について深掘りしていきたいと思います!!
まず現代でいうクロノメーターとはISO(国際標準化機構)が定めた腕時計に関する国際規格です。時を計るという時計本来の機能に関するもので、公的機関により検査され、国際的に定められた厳しい検定基準をクリアした「高精度の腕時計」の事をいいます。
ではどのようにして「クロノメーター」が誕生したのでしょうか?
時はヨーロッパ諸国が中心の、大航海時代と呼ばれる15世紀半ばまでさかのぼります。大航海時代と言えば新大陸を発見したコロンブスや、インドへの新航路を発見した探検家のヴァスコ・ダ・ガマ、世界周航に挑んだマゼランなど名だたる偉人が数多くいた時代でもあります!ヨーロッパ各国は新しい航海技術や地図を駆使し、周辺諸国を巻き込みながら戦争や海戦を頻繁に行い、世界商業の覇権を握るため、もしくは植民地獲得のために日々争っていました。
この時に各国が力を入れていたのが海軍です。この時代は「海を支配するものが世界を制する。」と言われるほどで、多くの国が軍事力の大半を海軍に充てていました。同時に各国とも必要としていたのが、正確な船の経度を知るための方法でした。緯度は太陽や北極星の高さを計って計測できていたので大丈夫でしたが、経度を知る手段は当時まだありませんでした。正確な船の位置がわからずに大海原を航海するので、誤って船同士が衝突してしまったり、岩礁にのりあげ座礁してしまったり、長期間の漂流により餓死してしまう乗組員が出たり、船の中で疫病が蔓延してしまったりと、海難事故が多発していました。当時は敵艦隊よりもこのような海難事故のほうが恐れられていたそうです。
中でも大きな打撃を受けたのがイギリスです。1707年、イギリスの軍艦4隻が航海中に嵐に見舞われ、座礁して沈没してしまいました。この海難事故で二千人以上の犠牲者が出たと言われています。
スペインはヨーロッパ諸国に先駆けて1598年に「船の正確な位置測定方法の発見者、開発者に多額の報奨金と終身年金を出す!」と大げさとも思える宣言をします。するとその周辺諸国もスペインを真似して同じような法令を次々と出していきました。
イギリスも先述した大事故をきっかけに、1714年に「経度法」を公布し賞金を出すと宣言。なんとスペインの宣言から約100年以上たっても経度測定方法は確立していなかったのです。それほどまでに「正確な経度の測定」は困難を極めました。 正確な経度を測定する方法を確立すれば生涯暮らせる多額の懸賞金を得られるチャンスとあって、各国の研究者・学者・科学者たちが名乗りを上げます。
私も調べてみて驚いたのですが、あの有名な近代科学の父と呼ばれるガリレオ・ガリレイや、リンゴが木から落ちるのをみて万有引力の法則を思いついたニュートン、細胞単位の研究をして細胞の事をCell(セル)と名付けたロバート・フック、世界初の実用的機械式時計を製作し機械式時計の産みの親と言われているクリスチャン・ホイヘンスなどが船の経度測定の方法の解明を試みたそうですが、なんと誰も成功することはありませんでした。 「太陽の位置と時計があれば経度を割り出すことは出来る。」というところまでは発見されていました。しかし当時の時計は一日で十数分もずれてしまうような時計が当たり前の時代。陸上でも十数分の誤差が出てしまうそんな時計を、荒々しい波の揺れと、赤道から北極・南極近くの極端な温度差のある悪条件が重なった海上では、時計を使用しての正確な方角を割り出すのは極めて困難で、非現実的とされていました。たった数分とも思える誤差ですが、実際長距離を移動する船にとっては、非常に大きな誤差となってしまいますので時計の「時計の正確さ」というのが課題とされました。正確な経度を算出するには、誤差が出たとしても一日3秒以内という当時では考えられない高精度な時計の開発が必要でしたし、これが経度測定方法の足かせとなっていました。
1730年、イギリスの木工大工をしていたジョン・ハリソンが「マリンクロノメーター(高精度船舶用時計)」の製作に着手します。開発に5年という歳月をかけ1735年には試作第一号機が完成するのですが、非常に大きく取り回しが難しいと指摘されます。高さ63㎝、幅70㎝、奥行45㎝、重さ34㎏…。うーん、確かに時計としてはかなり奇抜な大きさですねぇ。しかしハリソンは諦めず、その後どんどん軽量・小型化の改良を重ねていきます。
そして第一号機の完成から実に26年の歳月をかけ、1761年には直径13センチほどの人間が携帯できるサイズにまで軽量・小型化に成功しました。これでいよいよ経度を測定するための81日間の実験航海が行われます。 その結果はなんと81日間にもわたる航海で、誤差はたったの5.1秒!という驚異的な精度をたたき出し、信じられない程正確に経度を測定することができたので、安全に航海する事が出来たのです。
科学史に名を連ねる偉人たちが100年かかっても成し得なかった「正確な経度の発見」はイギリス生まれの木工大工さんが31年で実現したのです。その功績はイギリス政府に認められ、ハリソンは賞金を手にします。そしてこのマリンクロノメーターの開発をきっかけにイギリスの時計産業が急激に成長していくと同時に、自由に航海できるようになったイギリスは海を制することにも成功し、植民地をどんどん増やしていきますがそれはまた別のお話。
ハリソンさんは歴史の教科書に載ってもいい気がしますね。
「マリンクロノメーター」のマリンの語源はラテン語の「マーレ(=海)」から来ており、クロノメーターの語源はギリシャ神話の時間を司る神「クロノス」から来ていると言われています。そしてこの「マリンクロノメーター」の偉業から、高精度な時計を指して「クロノメーター」と呼ぶ所以になったのです。
「マリンクロノメーター」が一般化・普及するのと同時に、時計師達が精度を競うコンクールなどが各国各地で開催されるようになります。そして時代が進むごとに時間の正確さは重要度を増し、地方で開催されるコンクールではなく工業製品としての規格や中立的な基準を求められるようになり、各天文台やスイスの公的機関がそれぞれに基準を作り検定を行うようになっていきます。
そして20世紀半ばになると「クロノメーター」という言葉が、一般の腕時計でも高精度であることを示すために使われるようになっていきました。1975年にはISO(国際標準化機構)により機械式腕時計の精度を規定する国際標準規格が制定されます。翌年には、高精度を意味する「クロノメーター」という単語が濫用されないようにISOが「てんぷ式腕クロノメーター規格」として国際規格を制定し、クロノメーターの定義づけをし、現在に至るというわけですね!(ISOの検定方法のベースに使われたのが1973年に設立されたスイス公式クロノメーター検定協会、通称C.O.S.C(コスク)の基準といわれています!)
一言で「クロノメーター」と言っても、こんなにも深い深い歴史があるんですね。浪漫を感じます!
クロノメーターについての検定を行う公的機関は世界で一つというわけではありません。スイスのラ・ショー・ド・フォンにあるスイス公式クロノメーター検定協会(C.O.S.C)が一般的に有名ですが、フランスのブザンソン天文台(CETEHOR)や、ドイツのグラスヒュッテ天文台(WEMPE)などがあります。かつては日本国内にも同様の検定機関が存在したそうなのですが、依頼件数が少なかったため現在は検定業務を行っていないようです。
時計メーカーはこれらの検定機関のどこかに依頼し、クロノメーターである証明を取ることになるのですが実際のところ、ほとんどの検定依頼はC.O.S.Cに集中しているそうです。 国際基準のベースにもなる厳しい検定基準のC.O.S.C。現在本部はスイスのラ・ショー・ド・フォンに設置され、ビエンヌ、ジュネーブ、ル・ロックルの三か所に検定センターを設けています。年間約180万個の検定を行うので、週7日休みなく検定を行っているそうです。検査内容は15日間かけて、5つの姿勢差、3つの温度下で時計のムーブメントのみ検査されます。一つひとつ個体で検査されるため、同じモデルのムーブメントでも合格するものと不合格になるものと出てきます。
なんと合格率はわずかたったの5%前後!時計メーカーの職人さんが一つひとつ丁寧に組み上げたものの中でもさらに、精度の安定した特別なムーブメントだけが「クロノメーター」の認定を受けて製品となるのですから、クロノメーターに認定されることは時計メーカーにとっても大変名誉ある、大きなステータスとなるのです。 クロノメーターに認定された時計は「証明書」が付くとともに文字盤に「Chronometer」の表記が許されます。文字盤にこの表記があるだけで厳格な検査を経てきたのかと思い、その時計に対する信頼性だけではなくデザイン性も実用性も高まり時計としての付加価値が一気に上がるような気がします。
金正堂本店スタッフが自信をもってオススメする、クロノメーター認定ウォッチをご紹介致します♪
まず一つ目は…
【TISSOT】
- バラード -T108.408.11.037.00 ¥129,800税込
青森県・秋田県で正規取扱店は金正堂本店だけ!1853年創業のスイスのTISSOT(ティソ)。スイスの伝統的なブランドの中では世界一の出荷数を誇ります。
幅広い専門的な時計作りもさることながら、TISSOT(ティソ)の一番の魅力は「価格以上の品質」でしょう。もちろんこのバラードも「クロノメーター」はもちろんのこと、「パワーリザーブは80時間」、「磁気帯びしにくいシリコン製ヒゲゼンマイ」を搭載して10万円台で買えるというのは驚きです!TISSOT(ティソ)にしかできないと思います!
【LONGINES】
- レコード -
L2.820.4.11.6 ¥290,400税込
こちらも北東北(青森・秋田・岩手)では正規取扱店は金正堂本店のみとなっております!日本ではあまりネームバリューが無いように思いますが、実はLONGINES(ロンジン)は国内外で非常に人気が高まってきているスイスの高級ウォッチブランドです。このレコードもクロノメーター認定モデルです。スタンダードな見た目ながら本格仕様で非常に使いやすく、かなりパフォーマンスが高い一本です。皆様のご要望にしっかり応えてくれます。とにかくケースやブレスの作りの良さ、磨きの美しさ、性能で選ぶなら間違いなくLONGINES(ロンジン)のレコードでしょう!
L2.320.5.87.7 ¥ 431,200税込
もちろんレディースモデルでのクロノメーターもあります!18金とのコンビネーションカラーがエレガンスさを際立たせています。白蝶貝の文字盤とダイヤモンドの相性もgood!ブルースチールの針は視認性を高めてくれます!
【LONGINES】
- ズールータイム - L3.812.4.63.6 ¥415,800税込
L3.812.4.53.2 ¥401,500税込
L3.812.4.93.2 ¥401,500税込
満を持して誕生したのがロンジンスピリットZulu Time(ズールータイム)!!190年の歴史の中で様々な世界初となる歴史的フライトの記録と共に歩んできたロンジンは、複数の時間帯を示す時計の開発において、100年以上の経験と知識があります。GMTやUTCではなく、航空計器のパイオニアとして、あえて航空や軍事で使用されている「協定世界時」の呼び方、「ズールータイム」というモデル名にしたのもうなずけます!
インターチェンジャブルシステムを採用していますので、ご自身で簡単にブレスレットから革(別売)に付け替えることが可能です!
ロンジンスピリットZuluTime(ズールータイム)の詳細はこちら>>>
【LONGINES】
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L2.836.4.52.9 ¥511,000税込
今年創業190年を迎えるロンジン。何といっても今の一押しはこのウルトラクロンでしょう!!1968年に発表されたロンジンウルトラクロンダイバーに敬意を表し、現代の解釈を加えた新しいウルトラクロンです。100年以上にわたってハイビートムーブメントを製造してきたロンジンが送り出す10振動の最新作!クッション型の43㎜ケースに収められた時計愛好家も思わずうなる美的感覚。
凄いのはその見た目だけではありません!このウルトラクロンはジュネーブの独立試験機関TIMELABによる「ウルトラクロノメーター」の認定を受けています。世界で数モデルしかこの検定をクリアしていないほど厳しいモノで、通常のクロノメーター認定を超えると言われています!!
専用のBOXとリサイクル素材を用い環境に配慮した特別な替えストラップが付属しています!
青森県の皆様にも是非ご覧いただきたいです!
腕時計に詳しいスタッフがご案内させて頂きます。皆様のご来店を心よりお待ちしております!
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青森県内唯一・LONGINES(ロンジン)正規取扱店
〒036-8124 青森県弘前市土手町45-1
金正堂本店 弘前店
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〒031-0004 青森県八戸市南類家1-1-1
金正堂本店 八戸店
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